聞くことにフォーカスした対話的な授業

今日、保健の「結婚生活と健康」という項目で

”聞くことにフォーカスした対話的な授業”

にチャレンジしてみた。

 

単純に手順を説明すると、隣の人と2人一組になって

 

1 チェックイン

自分の今の気持ち(疲れている・授業だるい・先生の服装が真っ黒で喪服みたいなど・・・)を共有する。

 

2 二人組のペアワーク

あるテーマ(例えば「あなたにとって結婚とは何か?」という問い)に対して、二人組のうち一人が1分程度、相手に質問をし、相手が思っていることを引き出し、整理する。

わからないことについては追質問してより具体的に理解する

 

3 話し合いの内容の共有

AさんとBさんでペアワークを行っていた場合、Bさんを指名したら、Bさんが「Aさんにとって結婚とは何か?」について答える。つまり、自分のことではなく聞いた相手のことを答える

 

4 そのことに関する知識や教員の意見をレクチャーする

 

以下2・3・4をテーマを変えて繰り返す。

 

 

ここに至る背景は、3つ

 

① アクティブラーニングの書籍などを数多く執筆しているKさんとのお話で、「対話の始まりは自己開示である」という話を聞いたこと

② とあるコミュニティーでの議論でアクティブラーニングって話すことを求めるけど「聴くこと」にどれだけフォーカスされてるのかな?と問われたこと

③ 我が校に教育実習生がきて、指導教諭としてちょっと近代的な授業を見せたかったこと(見栄ですね)

 

ということから

チェックインという、今の自分の気持ちを共有する自己開示から入り、

話すことではなく、聴くことを求めるペアワークを取り入れた

さらに聴くときに共有(アウトプット)前提にしたことで

質問をする動機付けをすることでより話を具体的にしようと考えた

 

単元がやりやすい内容だったのはあるがこれは結果として大成功だった

(しかも授業準備は完全レクチャー形式より格段に少なくすんだ)

 

実感として改善された点は

・「話せ」と言ってないのにめちゃくちゃ話していた

・雑談(大人数の中で耳につく声)がほどんどなかった

・内容がかなり個性的なものになり一般的な回答(作ったような回答)がなかった

・講義形式でやっていた時も反応があり、一方的に話している感覚が少なかった

・繰り返せば繰り返すほど内容が深まり、質問や傾聴のスキルが上がって行った

 

などがあげられる

 

これらを成し遂げた要因を抽象化すると

・自己開示(チェックイン)をすることで、相手と話す際の最初のハードルがかなり下がった気がした。その後の活動にスムーズに入れたのではないかと感じた。

・「話せ」というと話して終わりだが、「質問する」ということは、「聴く」ことを伴い、必然的に「会話・対話」になる。さらに、聞いてもらえると話したくなる傾向にあるのではないかと思った。

・共有(アウトプット)しなければならないということで、ちゃんと理解しなければいけないと思って聴いたのではないかと思った。

・当てられた時も、自分のこと言うのは恥ずかしいが、人のことならちょっと面白がれるのではないかと思った。

・Aさんを当てると話を聞かれたBさんも緊張感をもつし、Aさんと親しい人もBさんに親しい人も耳を傾けるので自然と、話を聞く人が増えたのではないかと思った。

 

今までこう言った意見交換で、我が校の生徒たちが

一般的な回答に留まらず、ちゃんと自分の考えを明らかにできた

ワークはあまりなかったので結構衝撃を受けた。

 

かつ、あまり授業の準備に負担がかからず、かなり応用が効いて

一斉授業からの移行もそんなにハードルが高くない形式であると感じた。

 

生徒の感想を一部抜粋すると

 

Gさん

結婚は自分本位で考えるのではなく、互いの信頼関係がないと成り立たないということが改めてわかりました。 今回の活動も込みで、話し合うことは何においても大切なことだと思ったので念頭においておきたいと思います。

Hくん

隣の人と話して結婚に関しての価値観が真逆に近いぐらい違くてこんなにも意見が分かれることがあるんだなと思いました。新婚ホヤホヤの先生の話も聞きその場その場の状況タイミングなどでやることなどとても変化し、人生を決める大切なことだととても思いました

 

と言った感想をいただきました。

大事にしていた内容のみならず、「話したこと」についての感想も

多くあってすごく価値を感じました。

 

 

私自身が、いろんな組織運営に携わる中でもそうですが、

やっぱり「対話」をするには

「自己開示」と「聴くこと」はすごく大事だと感じました。