教育実習という授業改善の形① 同じ教材を活用した4人の先生による授業研究

私は初の教育実習の指導教諭をしているが、

何も知らない、これから学校の先生を目指す希望に溢れた学生が

くることはとても学校にとって刺激になると考えている。

 

が、スキルや経験、知識の圧倒的に少ない学生が

授業を見てケチつけられて、「現場は厳しいんだよ」と教えるだけの

実習にはしたくない。

 

しかし、だからと言って「楽しい」だけの力のつかない実習にもしたくない

 

じゃあどうしよう?と考えたときに

「先生も併走して、先生方も学ぶ機会にしてしまおう」

と考えました。

 

ということで、「2年生を担当している全先生で教育実習生の作った授業をやる」

というチャレンジをすることにしました。

 

つまるところ、自分で作った自信作ではなく、

ぶっちゃけイマイチなスライドで授業するというなんとも

実力が問われる挑戦を行いました。

※実習生のKさんごめんなさい

 

題材にした内容は「妊娠・出産と健康」

担当したのは私、同級生で3年目のK教諭、非常勤講師3年目のS教諭、教育実習生のKさんの4名で7クラス行いました。

 

担当クラスは以下の通りです

月曜日→2組 実習生Kさん

火曜日→7組 実習生Kさん 5組 白根 1組 K教諭

木曜日→4組・6組 非常勤S教諭

金曜日→3組 実習生Kさん

 

というKさんは白紙の状態からはじめ、最後はみなさんが自分が作ったスライドでやった授業をみていいとこ取りをして、最後に授業をできるなんと理想な授業計画(偶然)

 

この授業をお互いにほとんど全て見学にいき、

週の最終日に研究協議を行うというちょっと本格的な内容になった。

 

 

同じ教材を活用しても授業に差が出る!

当たり前といえば当たり前だが、同じスライドを活用してもそこにかける時間配分や説明の仕方などはそれぞれ色が出ていてすごく興味深かった。

私はどちらかというと、ちゃんと妊娠の仕組みを知ることも大事だが、概要だけわかっていて、とにかく「命が生まれるのは奇跡に近いことである」ことや「妊娠の仕組みを知らないとやばい」と言った感情的な部分を大切にしたが、仕組みを丁寧に説明する先生もいれば、妊娠に備えた健康管理について(妊娠に気がつかない間に胎児の健康にとって望ましくない行動を取らないことなど)重点をおいて取り上げた先生もいた。

 

またそれぞれ発問の仕方や授業スタイルなど、指導内容は同じでも、指導方法に差が出たのもすごく参考になった。

 

共通言語で振り返りができた!

よくあるのが、授業の相談になると「私はこんなことやった」の応酬で、内容が深まって行かないことが多いが、同じ教材(スライド)を使うと、「ここどうやって説明した?」とか、「あのスライドの後に教科書のここを説明したよ」みたいな、説明の仕方やワークの取り入れ方と言ったちょっと制限がかかった中での議論が起こり、より深い振り返りができた。

また、実習生が作った教材(スライド)に対して、外から物をいうだけでなく、「実際にやってみてこんなスライドがあったらいいなと思った」と言った、経験によるフィードバックができたのはよかったと思う。

 

実習生の授業の変化

1回目の授業と3回目の授業は見違える変化だった。

自分がやった2回の授業と他の3名の授業をみて、いいところを取り入れた授業になっていた。実習生はそれをオリジナリティーのない授業と評したが、結局のところオリジナリティーとは、真似を複合したものに過ぎない。そう言った意味では、自分と同じ授業を他の先生の形で、他の先生の知識も踏まえた形で見ることによって、自分の授業を3回体験し、4回改善したイメージを持って1週間を終えたことはすごく力になったはず。

 

 

非常勤講師S教諭のチャレンジ

非常勤講師S教諭は、1年目はワードも使えないぐらいアナログで、今までプロジェクターでスライドを投影して授業をしたことがないが、今回は巻き込まれて初めてプロジェクターを教室で活用して授業を行った。

本人は「機会がなかったらチャレンジできなかった。スライドを使うと内容が頭に入ってないとてんぱりますね・・・」と言ったフィードバックをしてくれた。

同時に自分がまだまだだって久しぶりに感じられて、また頑張ろうと言ってくれた。

 

感じる力不足。教材や機材、生徒との関係性に救われて見えなかった本当の実力。

私自身も、これ結構自信があったんですが、やっぱり自分の作ったものでないと勝手がわからない上に、引き出しの中で対応できると思いましたが、やってみるとまだまだ勉強不足・・・説明の順番や発問の仕方、ワークの取り入れ方などうまくできずに、生徒にはてなマークが浮かんだまま授業が終わってしまいました・・・

 

話し方や聞き方、授業の展開の仕方など引き付けられる力がないかよくわかりました。これは本当にショックでしたが、同時に面白かったです。

 

研究協議でメイキングまで共有

授業だけでなく、その授業がどうやってできたか。みたいなところまで共有しました。

どこが大事だったか、どんなワークを入れたか、そのワークを入れた理由は何か。

そう言ったことを久々に真面目にやってとてもためになりました。

私は非常勤のS教諭がグチャグチャに書き込んだ台本的なプリントをみて、自分はそう言った準備を最近怠っているなと反省しました。

 

みなさんやってみて、みなさんが普段どんな授業をしているかなんて

忙しさにかまけて全然知りませんでしたので改めて知って、次の授業に対する改善案を既に考えていた自分がいました。笑

 

 

実習生の力不足をフィードバックする会ではなく

どうしたらより良い授業になるかを考えて学生も教員もともに学ぶことができた

すごくいい機会になりました。

協力してくれたみなさんに感謝!

(おそらくこう言ったことができる職場は多くないはず・・)

 

 

次回にむけて

 次回は、私が考えた3つの問い

 

家族計画について

Q1 もしあなたが結婚して、家族を持つことになったら、

あなたが何歳の時に、何人、何歳差で子どもが欲しいですか?

またその理由はなんですか?

 

避妊法について

Q2 避妊法のうち一つ選択し、その避妊法について

なぜ避妊できるのか、どのように使用するのか、使用するときの

メリット・デメリットはなんですか?

 

 

人工妊娠中絶について

Q3 中絶が認められている「特別な理由」とは何か

なぜその理由があれば中絶が認められるのか?

また、中絶すると心身にどんな健康影響が出るのか?

 

これらを取り入れた授業をそれぞれ作ってきましょう!

という同じ問いから授業を作ってもらうという授業をみなさんで

行っていきたいと思います。

 

この報告についてはまた来週以降に!

 

それではまた!